エンドレス・エンド(未完・新作) エンドレスエンド 第一話 これ以上悪事を働くわけにはいかない。俺がよかれ、成功すると確信して行うことはことごとく失敗してきた。なにをしてもあと一歩までというところまで行ったとしても最後には失敗に終わり、その結果、自分と自分に好意を持つ他人を不幸にしてきた。無能である... 2025.01.12 エンドレス・エンド(未完・新作)
エンドレス・エンド(未完・新作) エンドレスエンド 第二話 早朝、払曙の時間、ただ事でないカラスの声で目が覚める。けたたましい鳴き声で、三羽のカラスがまるで恐ろしい敵を見て大騒ぎをしている気配。一羽の鳴き声は他と比べてソプラノ風で、ずっと間断なく鳴き続けている。他の二羽はそれに呼応するように例の聞き... 2025.01.12 エンドレス・エンド(未完・新作)
エンドレス・エンド(未完・新作) エンドレスエンド 第三話 総支配人の北畠が俺の履歴書を目でなぞっている。もう3周したに違いない。こちらを時折チラ瞥する。卓上のミニ扇風機がそっぽを向いて首を振っている。壁際の半分ほど水が溜まった除湿器が一度ぼこぼこっと音を立てる。「ガタイもいいし、お若く見えますけど... 2025.01.12 エンドレス・エンド(未完・新作)
エンドレス・エンド(未完・新作) エンドレスエンド 第四話 「どうしたの?なんかいるの?」 男の子は相変わらず何も言わずに芝草のあたりを抜け、身の丈を越えた3メートルほどにこんもりと盛り上がった琵琶湖特有の葦の群生の中にどんどん入っていく。どうやらこの葦の茂みは廃路を囲うように伸びているようで、昨冬... 2025.02.12 エンドレス・エンド(未完・新作)
エンドレス・エンド(未完・新作) エンドレスエンド 第五話 櫓の音がまた聞こえる。櫓が水を掻く音。波打ちの音。俺は櫓舟を漕いでいる。人を乗せて手漕ぎ舟を漕ぎ続けている。立ったまま櫓柄(ろづか)から右手を外し、櫓杆(ろづく)を握ったまま燃え上がる安土城の方を、同船の女と見やっている。静寂。無声映画のよ... 2025.05.01 エンドレス・エンド(未完・新作)